海と島と人間と・・・・旅が好き!


by Satoe-Umeda
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7回目

若い頃よく遊んだ浅草がお好きなようで、実によくご存知でした。
柴又の「川千家」という料亭で、鯉料理をご馳走になり、金子さんはタバコはもちろんお酒も召し上がらないので、私だけに御銚子を何本もとってくださり、ご自分はお茶を飲んで、話されるわけです。
料亭の一室で、差し向かいでいるわけですから、気詰まりかというと、そおいうことは全くなかった。
私があまりにも子供だったせいでしょうか。
私がサンダルの紐が切れて困っていると、足元に屈みこんで、汗を吹き拭き、一生懸命結んでくださる。
思い出してみると、これは親子、あるいはおじいちゃんと孫という図でした。
いつだったか「僕がこうして、一緒に雑誌を出しているのも、僕が梅ちゃんが好きだからだ」とおっしゃられたことがあります。
なんとなく気があっていたことは確かな気がいたします。
冬の季節でしたか、例の3畳間に伺ったとき、当時はミニスカートが流行っていて、ぺたんと座ったら、スカートがずーつと、上のほうまであがってしまいました。そしたら金子さんは傍にあった私のコートを、ぎゅつと押し付けるようにかぶせて「こうしなくちゃ、いけないの」とテレているような清潔さでたしなめました。
晩年は「エロ爺さん」なんて週刊誌に書きたてられていましたが、実際はこんな姿でした。
それでも6年あまりのお付き合いのなかで、たった1度だけ動物的といっていいほどの、生臭いような、言ってみれば、オスといった感じの金子さんを感じたことはあります。やっぱり3畳間で話していたときですが、いつもの金子さんと違って無口なんです。私が話かけても黙っている。その時、部屋の空気が緊張するというか、息苦しいくらい凝縮した感じで、今でもその時の空気は覚えていますが、金子さんがなんだか剥き出しのオスそのものって感じで、老人ではなくて青年みたいな感じで体臭がむわっと、強まる感じで息苦しかった。その日はどうしてそおいう雰囲気になったのか、わかりませんし、また、どのようにして、いつもの金子さんにもどられたのか記憶にありませんが、さよならをして門を一歩でたとき、ほろほろと泣いた記憶があります。
なぜ、悲しいのかわからない。
とくにその夜、なにがあったわけでもないのに、多分、そおいう金子さんを見てしまったことが重くて悲しかったのだと思います。



もっとも、金子さんの思いがけない表情ということでは、よくこんなことがありました。
金子さんと初めて外であったときのことですが、葉書に書いてあった喫茶店「四つ角」に、そこに私が着いたのは、きっちり30分遅刻でした。
で、走るようにそこに行くと、店は運悪くお休みで、金子さんはその店の前で、着物姿で仁王立ちにたっ
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by satoe-umeda | 2008-01-12 15:35