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海と島と人間と・・・・旅が好き!


by Satoe-Umeda
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深沢七郎とギター

深沢七郎とギター_e0006048_1365965.jpg

ネットで購入した「深沢七郎ギター独奏集・祖母の昔語り」が届いた。
1973年レコード録音したものを2003年7月に初CD化したもの。

始めて聴いた。

不思議な音楽である。
聴いたことのない旋律ながらこころ安らぐのだ。
昨日の夜から聴き続けているけど飽きない。

ギターの腕前はシロウトの私にはわからないが、中学生時代から
45年以上も弾き続けてきて、小説を書く前は日劇ミュージックホールのギター奏者で、
プロのギタリストだったのだから、うまいのだろう。
カッパブックスから「深沢七郎ギター教室」というものも出しているらしい。
18回以上、コンサートも開いている。

ギターは七郎の体の一部になっていた。
ギターはタオルや洗面器のようにいつもそばにあったと言っていた。
ギターを弾くことは病むことと同じだとも。

音が柔らかい。
押し付けがましさがまったく無い。
スゴイことだ。

武田泰淳が深沢七郎が自分の眼の前で弾いたとき「泣けるねぇ」といって
泣いたそうだが、
たしかに泣ける。
しかも何度でも泣ける。

それにしても、深沢七郎は小説家の七郎と別人のようだ。
髪の毛はあるし、ヒゲもある。
録音は59歳のときだが、もっと前の写真だろうか。

アルバムの最後に七郎が「楢山節」を唄っている。
お百姓さんの声だ。意外と優しい声である。

あぁ、一日中でも聴いていられる。
とろとろとまどろみながら聴きつつ、ふーっと向こうの世界に
跨いでいきたくなる。
あの世とこの世の境のような音色と音楽である。
by Satoe-Umeda | 2005-10-13 13:09